ツーアウト満塁空振り三振

生活密着型ウェブダイアリ1.0

 大奥


 葉月と観てきた。簡単に感想を。


 いやもう、最初は怖すぎてホラーかと思った。「女の悦び」というのがひとつのテーマであるらしい。かつての日本の女性は男性からの愛情が自分のアイデンティティであったりする場合もあったわけで、この映画はそこをさらに一歩具体的表現をしたと言う感じ。仕事ばっかりして地位を得た絵島が、敵方の陰謀によって恋愛と言う感情地獄に引きずり込まれそうになる…というのが簡単なあらすじ。しかし絵島は強い。とはいえ、「一晩の後は余生だと思えるほどの恋」と言うのはすごい台詞だな。しかも齢二十八にして。その齢二十八をとうに超えた三十路女子としては、その一晩のあとから更なる迷いや苦悩があるんじゃないかとも思うのだけど。一晩ですべて判るわけではないぜ、と。知らずに済んで、幽閉され一生を過ごした絵島は、その点では不幸ではなかったと思う。


 台詞については、濃いものが多かった。「女は女を裏切るもの」「その代わりに私を抱きますか」「歌舞伎役者の命などがほしかったのではない」等々。もうこのあたり完全ホラー。出演者がその姿もたたずまいも衣装も美しくあるばかりに余計に。ああ、おそろしや。


 ミーハー部分としては、大奥シリーズファンとしてはフルキャストって感じ。あの人もこの人も出てて贅沢!何しろ高島礼子は怖くて美しい。いじめっぷりもすごいのだけど…。テレビシリーズではこの方の敵方だった松下由紀や木村多江が一緒になっていじめまくっているのにもぞっとする。杉田かおるの冷酷な感じ、でも見え隠れする強い情念とかも恐ろしくて面白かった。井川遙の男に頼りっぱなしのダメ女っぷりも、西島秀俊の流し目も、ミッチーのかつら(月代)の美しさも見ごたえあったなあ。全体的には、大奥ファンとしては満足。


 のちのち心に深く残る作品、とは言いがたいけど、たぶんDVDは買うと思うので判定勝ちといったところ。