ツーアウト満塁空振り三振

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『2020』私が2020年に聴いた打首獄門同好会

COUNTDOWN JAPANが中止になってしまい、ワンマンツアーもチケットを取れなかった私は、今年もう打首さんを見られない…。悲しみが深すぎるので、11月に出たアルバム『2020』の細かい感想を書くことでこの無念を成仏させることにしました。しかし残念ながら私の耳は節穴で(耳?節穴?)音楽的なことはあんまり書けないのでレビューでもありません。「2020」の曲順になぞらえた、私の思い出話とお気持ち表明です。
 
よろしくどうぞ。
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新型コロナウィルスが憎い

2月の無観客生配信ライブのオープニングで2020年を象徴するような1曲。原曲は大澤会長の宅録の作品で、アルバムには打首獄門同好会版として収録されています。内容はタイトルのままだけど、2月のオリジナルにはない「この音は止めてなるものか」がキーフレーズになっています。歌の通り、打首獄門同好会はライブを抑制されたこの年にも音を止めることはなかった。無観客配信に始まり、自粛期間中は1分ソングクリエイターとして録ってだしの1分ソングをtwitterで公開し、夏にはVRライブハウスで毎週新作をドロップ、新MVを3作公開、そしてこのアルバム。「この音は止めてなるものか」、このフレーズがただの歌詞に終始することはなく、彼らがこの気概で音を鳴らし続けたことは明白。その音がどんなに人を救ったか。私はどんなに救われたか!配信で最初に観たときは「こんな歌作ってきた~!」と笑ったけれど、まさかそれがこんなに心の支えになろうとは。様々な場面でこのタイトルが頭をよぎったし、実際に何度も口ずさんだし、今なお、このタイトルを口にしています。
 

 

筋肉マイフレンド

「新型コロナ~」のアウトロに重なる会長の語り、「平和な世の中に突如現れた憎きあいつ(中略)たしかに逆境に抗い、戦い抜くものたちの姿もあった。彼らの行く末にどんな未来が待ち受けているのか、まだ誰も知らない、それは2020年のことであったあああああ!」(千葉繁テイスト)に連なって、ベースとバスドラのリズムが始まりギターのピロリロピロリロ(ギターのテクニック分からん)が重なっていくと、アルバムに先立ってMVが公開されていたあの歌だとすぐにわかる。初見は2020年1月に行われたワンマンツアー初日。「筋肉マイフレンド」はそこで初披露の新曲だった。私にとっては初めての打首ワンマン、初めての新木場スタジオコースト。イントロが流れたとき、新曲だと気が付いたときの心の震えは忘れられない。そして発表されていなかったタイトルも「筋肉マイフレンド」だと、なぜか歌を聞いただけですぐに分かったし、スクワットも爆笑しながらもすんなり受け入れられて、私も適応力の高い打首ファンになってきているんだなあとしみじみ思ったライブの記憶。
2020年と筋肉マイフレンドと言えば、NHKの所業を忘れないでおきたい。アルバムプロモーションで「シブヤノオト」に出演したときのこと。NHKの人気番組「筋肉体操」とのコラボだったのだが、演奏シーンがほとんど映らず、音楽番組だというのにテレビの画面に映し出されているのは筋肉体操の演者で、打首の演奏はまるでBGMのように扱われていたこと。コラボはいい、でも音楽番組なのにアーティストへのリスペクトを感じられない演出には怒りを覚えた。いやいやNHKって、やつらそういうとこあるよ!紅白とかそうじゃん!とはいえ今年なかなかライブで見られない打首さんの貴重な生出演なのに何してくれてんねん。その後フジテレビの「LOVE MUSIC」に出演したときはスタジオトークからライブまで良かったので大変満足です。だからといってシブヤノオト、あなたたちのしたことは忘れない。
 

サクガサク

アニメ制作会社のWIT STUDIOとコラボしてアニメーター応援ソングを作るという発表があったのは2019年のクリスマス。私はイベントにはいかず配信で見ていた。それまでもコラボと称される楽曲はあるのだが、CMに使われるようなものから「コラボ…なの…?」というものもあったので、これは今まで以上に大きなプロジェクトなのでは!私は打首獄門同好会の歴史のエポックメイキングな出来事に立ち会っているのではないか!と思ったのを記憶している。(その後もちょくちょく思い続けるのだが。)
満を持して(新型コロナの影響があってだけど)公開されたそのMVは初見で衝撃を受けた。「すげえ本気のやつじゃん!!!」そこに携わる人たちの仕事ぶりに目を見張ったし、いちアニメファンとしても、打首のアニソンだと思うと胸と目頭が熱くなる…いや大袈裟でなく。そしてアルバムに収録されて音だけで聞くようになってようやく音の細部を聴くことが出来たのだった。MVはそれだけアニメと音楽の塊のような情報量に対応しきれていなかったのだ。耳だけで受け取れるようになって、この歌ではあす香さんの功績が大きすぎる!と改めて思った。会長の低音に、オクターブ上を歌う伸びのある美声が重なることで出る広がり…!中盤の掛け合いなんて最高。(会長のちょっとハスキーな歌声もゾクゾクしますよね…)英語の発音はjunko先生仕込みとのことで、それっぽいのが逆にちょっと面白くて好き。
アニソンつながりで言うと、同時期に実際にアニメの主題歌を歌っていた「それだけがネック」が収録されていなかったのは残念。聞きたかった。でも「2020」とはちょっと違うのはわかる。どこかで音源化お願いします。
 

ああ無性

今回のアルバム唯一の未発表曲。これ以外は原曲などが既に公開されていたので、これだけが初聴きでした。
打首を聞き始めてまだ日が浅いけれど、振り返って過去作を聞きまくってきた1年と少しの期間、こんなにコーラスに着目(目?)して聞いたアルバムはないと思う。もちろん、メインボーカル男性、サブ女性2人という珍しい編成なりの声のバリエーションの楽しみ方はあったけど、3人のハーモニーについて考えたことあったか?「ヒゲマラソン部」くらいじゃないだろか。しかしこのアルバムでは耳を澄ましてしまうんだな。とくにこの「ああ無性」では。具体的には2コーラス目、2回目の「無性に辛いものが食べた〜い」の1フレーズ。メインjunkoさん、他の2人が上ハモ、しかも不協和音的な響きが気持ち悪いのに癖になる。そこのワンフレーズのためにこの曲を楽しみに聴いていると言ってもいいくらい。いやいやそれだけじゃないけども!ほんと細かいとこも打首っぽいひっかかりがあって(「なんらかのパフェ」とか「我慢の限界カミングスーン」とか汎用性高い)、10獄放送局をみるようなコアなファンならわかる要素が盛り込まれていて、音楽的にはもちろんだけど歌詞でも期待していた以上に楽しめている。
前から思ってたけどかいちょ、甘いものわりとお好きだよね?10獄放送局のjunko cookingでバンホーテンのココア飲んでるのとか、プリンの歌があったり、何年か前のどこかのフェスでクリスマスケーキ食べてる画像が回ってたりするの見て、何となくそう思ってましたけど。見た目のとのギャップ、いいと思います…!(見た目だけだと一升瓶とか似合うのに)
 
1曲に600~800文字くらい書いているので、ここからちょっと抑え気味にしますね。
 

牛乳推奨月間

原曲は1分ソングクリエイターさん。学校給食がなくて牛乳が余ってしまう困った!という、そんなときに発表された歌。junkoさんが蘇をつくりまくった頃、会長がデロンギエスプレッソマシンで「引くほど」カフェラテを飲み始めたころです。最初聞いた時から打首っぽくて楽しいじゃんと思っていたので、VRライブハウスのタンパク質パックに入っていたときはガッツポーズ。twitter上の1分ソングから打首ライブの1曲に繰り上がったという歴史に立ち会えたといううれしさもありました。いわゆるラブソング皆無の打首さんなので、「あちらの女性にカルアミルクを!」というフレーズだけで、男女の出会いの要素!と興奮してしまう私はちょっと落ち着いたほうがいい。中学生か。

 
あと、かいちょのエスプレッソマシン多分これ
 

足の筋肉の衰えヤバイ

こちらも原曲は1分ソングクリエイターさん。ほとんどそのままアルバムに入っていたのでウケた。ただこの歌はやはり動画付きで見たい。会長の例のイラスト(たまにあれしかもう会長に見えない時がある)のアニメーションと、なぜか飛ぶ獄ねこ、某ヤバTの皆さんなど動画の見どころが多いのです。聞いているときはもちろん脳内再生されているんだけど、やっぱり視覚情報が欲しいなぁと寂しくなってしまう。『MUSICA』のインタビューで鹿野淳さんにこの歌の「貧弱、貧弱ゥ~!ワオ!」の部分は志村けんさんオマージュですかと聞かれ、あれはジョジョの奇妙な冒険DIOというキャラクターが…と説明をしてるんだけど、元ネタの説明をまじめにしている会長を思い浮かべたら可笑しかったです。元ネタの説明って厳しいはずw。

 

ニンニクは正義

こちらも原曲が1分ソングクリエイターさん。twitterで見た/聴いたときから、なんとメタルじゃんか!かっこいいのでは…!と思っていたのでアルバム収録で喜んだ1曲。早弾きもあって聴き所は多いと思うんだけどやはり歌詞。「ニンニク入れ放題 IN OR DIE」とか「ニンニクは正義すなわちJUSTICE」などのパワーフレーズはもちろんなんだけど、展開がとても面白いのだ。人に会えない=ニンニクを食べるチャンスというのがこの歌のベースにあって、サビの歌詞が徐々に変化していくのがポイント。「明日は誰にも会えないから ニンニク入れますか」→「明日のことはわからないけど ニンニク入れますか」→「明日は誰にも会わなきゃいい ニンニク入れますよ」と変化していくところがじわじわ来た。入れますよウ!って感じにシャウトにになるのがほんと最高です。

 

明日の計画

緊急事態宣言解除のタイミングで発表された曲。MVは自分ツッコミくま(ナガノ)のくまとパグのアニメーションでかわいいのだけど、曲の終盤盛り上がり前にくまとパグがハイタッチするところで私ちょっと泣いちゃう。今までなら何でもない明日の計画が、特別なものになっちゃった2020年、心に染み入る歌でした…が、正直、いつ録ってたの?…と思ってたらアルバムプロモーション時の激ロックのインタビューで種明かしがあって、緊急事態宣言の前に収録済みだったという話がありました。MVの歌については、会長の声なだけのは歌が宅録だからで、納得。
大澤:これは緊急事態宣言の解除とともに発表したんですけど、作ったのは緊急事態宣言前で3月のうちに作っていたんです。緊急事態宣言に入るギリギリのタイミングでレコーディングを終えてというか、楽器録りとコーラスまで終えたんです。歌録りをするとなって緊急事態宣言に入ってしまったので、だから男声しかないんです。大澤が自宅で録ったヴォーカル・パートしかないんですよね。

gekirock.com

明日何食べよう、明日どこに行こうってワクワクできる世の中は、再び来るんだろうか。2020年の終わりにまだそれが見えないのがしんどい。しんどいけど、そういうしんどい気持ちをこの歌が支えてくれていてありがたい。打首さんの歌の本質にはやさしさがあると思っていて、それが他のバンドやユニットの面白歌詞・着眼点にちょっと他者をdisる要素が入っているのがウケているところとは違うと思っていて(ええ、贔屓目ですけどね、そんなに他を知らないですけどね、恋は盲目なんですよ)やさしさに全振りしたらこの歌みたいになるのかなと。やさしさ要素を力強さに振ったら「新型コロナウイルスが憎い」の、「この音は止めてなるものか」につながるのかもしれない。『2020』も打首さんのやさしさが詰まったアルバムなのだなあ。
 
打首さんはやさしいと何度も書いているな、私ブレない。
 
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ライブに行きたかった悔しい気持ちが消化されたかどうかはわからないけど、ちょっと気が済みました。(どこかで「俺たちの敦史」って使いたかったけどそれはまた今度)なんとかダークサイドに落ちずに年を越せそうです。お読みいただきありがとうございました。多分これが最後の投稿になると思うので(なるかな?)とりあえず挨拶だけ先にしておきますね。
 
みなさま良いお年を。