ツーアウト満塁空振り三振

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「ナラタージュ」勢いに任せた感想

映画「ナラタージュ」を観てきたのですが、感想が思いのほか長くなったので独立エントリーにします。個人の感想ですよ。ネタバレ考慮せず書きますのでご了承ください。


無駄な音のない静かな映画で、久しぶりに上質な大人の映画を観ました。キャスト的には流行のキャピキャピ胸キュン恋愛映画に出てもいいメンツなのだけど…そうではなく、それなりにいろんなものを重ねてきた人に響く映画だったのではないかと。純粋な気持ちをまっすぐにぶつける泉(有村架純)と、妻との葛藤を胸に秘めたまま泉に甘えてしまう葉山先生(松本潤)と、泉を思うあまり束縛や嫉妬心が強くなってしまう小野(坂口健太郎)の三人の恋愛模様。原作は途中まで読んでいたので、大人の狡猾さで泉をひきつけ続ける葉山先生には騙されないぞ!!と思っていたのだけど、葉山先生の無防備な色気がたまらなく、これは仕方ないよね…!!みたいな気持ちになり私だめだなまったく!小野くんが最初はさわやかなんだけど、泉の本心がまだ葉山先生にあることがわかってから、束縛が強くなったり携帯を見せろと言ったりちょっとモラハラ気味の彼氏になっていくわけで、あーこれは地雷だ無理だと思ってしまってから、「泉そいつから逃げろ!!!」みたいな気持ちで見てしまっていたのだけど逃げたところで泉は葉山先生に行くし、ていうかもともと葉山先生の煮え切らない態度にあきらめて小野君に逃げたわけで…こっちはこっちで絶対幸せになれないってわかるからつらい…。そんな風に泉に肩入れして見ていたので、まあいい客なんだけども、最終的には葉山先生ちょっと可哀想、私ができることってないかしら、先生素敵、みたいになってしまった。行定監督、うまいな…(誰目線)。

小野くんのモラハラ彼氏っぷりが無理!という意見は私の周辺でも見かけて、あれは面倒くさそうだし泉は離れたほうがよかったタイプだと思うんだけど、でもそもそも泉が彼に対して不誠実である(葉山先生への当て馬扱いだしね)からこその行動であってこの点では気の毒。でも、以前サークルで女性の先輩から一方的に強く思われたりしてたし、泉も見ようによっては妙な女子だし、小野くんはなんか面倒な女子をひきつけてしまう何かを持ってるのかもしれない。でも、迎えに行かなかったところと謝れ靴を脱げといったところはやっぱり受け入れられないので無理。
葉山先生に関しては、どんなに家庭でつらいことがあっても逃げ場に若い独身女性を選んじゃだめよと思うのが一番。とはいえ、それについて責めたり糾弾したりするつもりはもちろんなくて、そういうのが人間であるのではと。泉に対しても同様。とはいえ原作では葉山先生ずるいなという感情が多分にあって、いざ映像化されてみると、先生のゆるい感じからくる色気というかエロさがたまらず、あんな男性が居場所を作って救ってくれたら(余談だけど、これについては映画のエピソードでより分かりやすくなった気がする)そりゃ恋しちゃうよね。気持ちを伝えようとしていたら卒業式にいきなりのキスだし、その後は連絡なしだし…。再会して葉山先生は「変わったね」というのだけどそりゃ変わるよね!!恋愛において待つということのつらさキツさ…、すり減りますよね。新しい環境へ飛び込んで新しい出会いもあっただろうに、泉は待ったわけですよね、1年以上も。それは誰のせいだっつうの!!そりゃ変わるよね!「なんだったんですか」って問い詰めたくもなるよね!!ああ、葉山先生ひどい。でも惹かれてしまう…その魅力は泉と一緒に体感しました。はあ(溜息)

泉が知りたかった「彼の真実」、泉が問い詰めても出てこなかったものが最後に彼の口からようやく聞けるわけだけど、第三者が見ていたらわかりやすいものでも、当事者だと見ええないことってあるよな、という感想。葉山先生は大人だからずっと前にわかっていたのに、泉の気持ちを考えたらうまく言えなかったのでしょう…。返事を待ったり問い詰めても出てこないものはかなりの確率で一方的なものなんじゃないだろうか。でも、先生にも恋愛感情があったと私は思いましたよ。あったところでずるいことには変わりない。ほかにもっと明るい恋愛をできたかもしれない二十歳そこそこの女の子の数年間を奪った罪はあると思うんだ。葉山先生はその罪を忘れないでいてほしい。

ラスト、雨上がりの朝が来て映画はエンディングを迎えるのだけど泉に幸せになってほしいなあと思いました…というか、なるね彼女は。明るいラストでよかった。

浅い感想失礼しました。原作ちゃんと読もう。

 

ナラタージュ (角川文庫)

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