ツーアウト満塁空振り三振

生活密着型ウェブダイアリ1.0

 観てきた


 新訳Zガンダム、昨日見てきた。思い出したらまた書いていこうと思うが、とりあえず雑感だけ。ダラダラ書くよ。


 もし一言で感想を言うのであれば、「エロかった」。この一言。o-tsukaさん*1のレビューを読んでいたのでそれに影響されたかなと思ったけど、それを抜いてもやはり描き方がいちいちエロかった。ヤザンのいたぶり方とか(いや強いのは分かるんだけどさ)、レコアの女の部分とか、シロッコの言動とか、ラストシーンとか。


 で、終わったあとになんとも言えない「納得いかない感」があってもやもやしてしまった。この「納得いかない感」がなんなのかよく分からないのだ。誰も知らない衝撃のラストシーンなるものは、まぁ想定内だったのだが、にもかかわらずぬぐえぬもやもや。


 でもそれも人によるようで、同行のビーノちゃんは普通に面白かったらしい。彼の場合はテレビシリーズの流れに沿っているかということが重要だったようで、大雑把には流れがあっていたので良かったというところか?終わったあとテレビシリーズを最初から見たくなったらしく、「もしやテレビシリーズのDVDを買わせるつもりの映画だったのか?」という疑問も。また、ZZまでやる気ではないかという話にもなった。ハマーンとかヤザンとか、そう言う感じなのだもの。ハマーンはあれで二十歳そこそこだというから驚きだ。あんな貫禄のある二十歳の女子は彼女くらいしかいない。全然関係ないけど帰宅して爆笑オンエアバトルを見ていたらハマカーンが出ていた。(本当に関係ない。)


 しかし今回もいきなり感とつじつまの合わない部分が結構あったと思う。そのわりにはロザミアとかジェリドは全然物語に必要ではなかったと思う。カットしたほうがいいのに。あとカミーユはカツを叱るシーンばかりが出てきたけれど、カミーユって傲慢で生意気でプライドの高いどうしようもない子供だったよね?そのあたり「忘れちゃってるの?」というくらいいきなり大人になっていて残念。「修正」のシーンや、ファーストガンダムから描かれている「大人と子供」もあまりなかった。富野監督はその二項対立より「男と女」にシフトしたのかな。


 私が注目したいのはレコアの存在。富野監督は「星を継ぐ者」の特典DVDの中のインタビューで「レコア・ロンドというキャラクターは全て省こうと思った」ということを言っていたわりには、全体を通して(とくに「恋人たち」からは)レコア目線が非常に多かった。それを観ていると「現場叩き上げの、仕事の出来る、才色兼備の頼れるアネゴ」的な印象を受ける。だからすごくカッコいい。あんなに強くて行動力があるのに少尉ってところも、会社という社会の現実を思わせたりするのだけど。エマはもちろん仕事が出来て才色兼備のかっこいいおねえさんなのだが、ちょっと擦れているレコアと違い、エリートで優等生でもある。ふたりとも同じように裏切り者であるが、ここでレコアが非難される理由はやはり、裏切りの理由が男関係だからなのだろうな。エマ中尉はわりと理屈で考えているのに対し、レコアはすごく感覚的。自分探ししちゃって求められるほうへ行ってしまう。でもシロッコにいつかは使い捨てにされるというのを分かっているんだよなあ。クワトロとそう変わらないような気がするんだけど。「好奇心が強いだけのかわいい女」などと評されてレコアはうれしいのだろうか。


 エゥーゴのパイロットのなかでエマとレコアは対立するような存在でもないし、エゥーゴにはレコアの場所もあったわけで。レコアが寝返った理由が実は私はよく分からない。女だから男だからとかではなく、心の充足とよりどころを求めて宗教に勧誘されてフラフラと入ってしまった、という感じに思える。それは男女の愛じゃないよな。シロッコは多分にそういう人間で、サラを見ていても同じことが思うのだけど。でも作品中では「アーガマの男たちは…」と何度も言うわけだから「男」が理由なんだよなあ。シロッコが抱きしめようとするシーンでもいちいちそういうことに結び付けようとするのがやらしいなあと思った。


 エマがレコアを責めるのは、同じ裏切り者でも「理由が違う」と考えているんじゃないか。仕事内容や考えで居場所を変えた女と、ある男から別の男への移動をしただけの女とでは、違うと思っているんじゃないだろうか。それは非常によく分かる。例えば「この会社の経営方針はどうか、システムはどうか…」などと考えて転職した女子と、「男性上司が全然女の私に優しくしてくれないから、優しい男性上司のいる会社に行くわ、そのほうが私を生かしてくれるわ」と言う女子はまったく違うし、前者は後者を非常に軽蔑すると思う。
まぁ卑近な例だけど…。レコアとエマの「女子職業人としての生き方」には以前から非常に興味がある。また暇なときに考える。


 あ、レコアとエマはともかく、納得いかない感は「結局ファなのかよ!」ということかも。フォウかわいそう。きっとシャアとアムロとララァのようにはしないようにしたかったのかな。カミーユには生身の女性をあてがったのかもしれない。カミーユみたいな繊細なニュータイプが、精神崩壊もせず、わりと凡庸な女子に落ち着いてしまうのがつまらないのかな。なんだそれ。それからエンディングテーマがひどい。「Love Letter」でいいじゃん、何あの変なラップ。すんごい興ざめ。

*1:http://d.hatena.ne.jp/o-tsuka/20060306#p1