ツーアウト満塁空振り三振

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 実際はどうだったんだろう


 今年は戦争ものがだいぶ映画やドラマで流行ったけれど、その中で気になることがある。戦地に赴く際、残る人間が兵隊に「死ぬな」と伝えるシーンがとても多いように思うのだ。戦争で死ぬことが美徳であり、それが御国のためだとされていた時代だということは、今までの知識で持っている。でも実はそうではなかったのだ、ということを語るためか、最近の映画やドラマには「死ぬな」というシーンが出てくる。


 しかも某ドラマでは人ごみの中で叫んでいたのだけど、これはリアリティのある話なのかと不思議に思った。ドラマのストーリーとしてはとても泣かせるいいシーンだったのだが、あんなにおおっぴらに「死ぬな」と言ってつかまったりしなかったんだろうか。非国民とか言われて。60年後のテレビの前にいる、戦争を知らない大人であるけれど、そのドラマの主人公を心配してしまった。してしまったのだけど、その後の展開として、その主人公が警察に捕まったら実はほっとするんじゃないだろうか。今までの知識と整合性があるからだ。もちろん、本当は死にたくなかった人が多いだろうし、家族や友人を死なせたくなかった人が多いのだろう。それが自然な感情だと思うけれど、それを果たしてどこまで表に出せたのだろうか。私が昨今の戦争ストーリーに違和感を感じているのはそのへんだ。最近、言葉や物語にリアリティがないとなぜか納得できない。